円形脱毛症はハゲの中でも難しい部類のハゲです。
遺伝的要因と自己免疫疾患が関係していて、
ヘアサイクルの成長期に問題が起こっていることは分かっているのですが、
未だに特効薬と呼べるものはありません。
症状も十円ハゲと呼ばれるような小さな円状のハゲから、
頭部全体におよぶほど大きな領域で髪の毛が抜け落ちるもの、
全身の毛が抜け落ちてしまうものまで、
その症状は程度に差があるため、
症状の重い人にとっては非常に大きな問題なんですよね。
今回のお話に出てくるビマトプロスト(ルミガン、グラッシュビスタ)は、緑内障の薬として使用されてきた薬ですが、
まつ毛の成長を促す効果もあることが発見され、
まつ毛を増毛したい女性の間で流行っているお薬です。
実は、このルミガンが、
円形脱毛症にも効果があるようです。
ルミガン(ビマトプロスト)ってどんな薬なの?
ルミガンの有効成分であるビマトプロストは、
プロスタグランジン(PG)という体の中で働く物質に似た物質です。
プロスタグランジンはプロスタグランジンAからB、C、D、、、、I、Jといくつもあるんですが、
それぞれ、血管拡張作用、発熱、骨形成など様々な働きを持っています。
ビマトプロストは、この中のプロスタグランジンF2αに似た構造をしているため、
脂肪の形成に関係していることも知られています。
目薬として使うと、
・緑内障の治療ができる
・まつ毛が伸びる
といった効果があります。
副作用としては、
・目の縁に色素が沈着する
・目の周りの脂肪が落ちる
といったことが起こります。
んで?円形脱毛症に効くの?
効くみたいです。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27377163
上の論文で効果があるということが報告されています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25765294
こちらの研究でも円形脱毛症の患者さんにルミガンを使用しています。
使用方法は、1日に2回、ルミガン(0.03% ビマトプロスト)を患部に塗ったそうです。
比較対象として副腎皮質ホルモン(0.1%)を1日に1回塗っています。
治療期間は3ヶ月です。
男性18人、女性12人の結果です。
年齢は19才から48才で、平均35.4才です。
円形脱毛症になってから6-9か月経過した状態から治療しています。
治療した円形脱毛症の患部の数は60こ、
一つの大きさは一番長い辺で6-12cmのものです。
この円形脱毛症の患部 60こ の内
30こを副腎皮質ホルモン
30こをビマトプロスト
で治療して比較しています。
その結果、
副腎皮質ホルモンで56.7%
ビマトプロストで83.3%
の確率で改善しています。
この結果は、ビマトプロストの方が副腎皮質ホルモンよりも
効果がある円形脱毛症の種類が多いことを示しています。
そして、それぞれのハゲた領域において、どのくらい生えたのかというと、
副腎皮質ホルモンで22.4%
ビマトプロストで48.95%
の領域で発毛したという結果が得られています。
さらにさらに、
効果が現れ始めるタイミングですが、
副腎皮質ホルモンで3.57週間かかったのに対して
ビマトプロストでは1.48週間で効果が得られています。
視覚的に見たい方はこちらのリンク先で下の方の写真をみてください。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25765294
Fig.1が副腎皮質ホルモン
Fig.2がビマトプロスト
の効果です。
すごい効果ですね。
しかしながら、まだ実験段階であり、
相当寛容というか大胆なお医者さんしか処方はしてもらえないでしょう。
え?
じゃあなんでこんな情報を書いてるんだって?
今の円形脱毛症の治療の限界を広げてくれる情報だからです。
今の円形脱毛症の治療方法は?
残念ながら、今の円形脱毛症の治療の主流は副腎皮質ホルモン(ステロイド)です。
この場合、ステロイド耐性(薬が効かなくなる)が問題となり、
治療方針を切り替えなければならない可能性があります。
そのような人にも、ビマトプロストは有効です。
ということで、
円形脱毛症で副腎皮質ホルモン治療が出来なくなってしまったあなた、
新しい治療方法にも理解のあるお医者さんに診てもらうことをお勧めします。
まず、クリニックや病院に電話して、ルミガンによる治療をお願いできるか聞いてみましょう。
あ!
決して自分でルミガンやグラッシュビスタを使用したりしないでくださいね。
お医者さんに指示を仰ぎましょう。
※個人的にはビマトプロストをまつ毛の育毛剤として使用することはオススメしません。
副作用がメリットを上回る可能性があるからです。
円形脱毛症にはJAK阻害薬が劇的に効くみたいです。
→第4世代の最新の育毛剤はトファシチニブで決まりかもしれません