円形脱毛症は自己免疫疾患が原因の一つとされており、
一般的な男性ホルモン由来の薄毛とは違う流れで起こります。
この円形脱毛症の特効薬として注目を集めているのがJAK阻害薬です。
円形脱毛症の特効薬:JAK阻害薬とは?
釣りタイトルとなってしまって申し訳ありませんが、
残念ながらまだJAK阻害薬は円形脱毛症に適用できる状況ではありません。
ただ、とても明るい状況ではあります。
続きを読んでください。
円形脱毛症の特効薬として注目を集めたのは
ルキソリチニブについて2016年に報告された臨床研究結果です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27699253
この研究ではJAK1とJAK2を主に抑えるルキソリチニブというJAK阻害薬を、
1日2回、各10mgずつ飲むことを3ヶ月続けたところ、
12人中9人、
つまり
75%の人で髪の毛が劇的に増えた
ことを報告しています。
その効果がものすごいんです。
効果があった9人の写真がこちらです。
ね?
ものすごく髪の毛が増えています。
それぞれ、左側が治療前、右側が治療後の写真です。
つるつるの人の右側にフサフサの人がいますよね?
同じ人ですよ。
ただ、残念なことに、このルキソリチニブ、
半減期は3時間程度で体に残りにくい薬です。
つまり、飲むのをやめたら毛が抜けてしまいます。
論文の添付データには、
飲むのをやめてから1ヶ月後の写真も載っているんですが、
かなり抜け落ちてしまっています。
当然、3ヶ月後にはもっと抜け落ちてしまうことでしょう。
つまり、
JAK阻害薬は飲み続けなければならないのです。
でも、それは難しいのです。
ルキソリチニブを飲み続けられない理由
ルキソリチニブはJAK阻害薬です。
炎症反応に関わるJAKという酵素の働きを抑えることで効果が発揮されます。
JAKは髪の毛を抜け落ちさせることだけでなく、
体の免疫反応にとても重要な働きをしています。
そのため、JAKを抑えることは体にとって都合の悪いことも起こります。
ルキソリチニブのインタビューフォームを載せておきます。
http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/300242_4291034F1029_1_JAK_1F
これによると、ルキソリチニブの副作用として
・ 貧血(60%の人で起こる)
・ 血小板減少症(55%の人で起こる)
・ ALT増加(12.5%の人で起こる)
・ 下痢(10.8%の人で起こる)
などがあます。
血小板が減少すると出血が止まりにくくになり、
様々な状況で危険が伴います。
そもそもルキソリチニブは骨髄線維症という
死に至るほど重い病気の治療薬として認められたものです。
どんな薬でも必ずデメリットがあるものですが、
メリットがデメリットを大きく越えるときに使用可能になります。
つまり、
血小板が減少して出血しやすくなるという大きな問題であっても、
死という大きすぎる問題の前には使用を止める理由になりづらいということがあります。
一方で、円形脱毛症は命の危険はありません。
心の問題は時に死につながる可能性もありますが、
円形に毛が抜ける症状は、直接的に死につながるわけではありませんよね。
そのため、
その人ようなに対して、
この重い副作用がある薬は適用されることはないでしょう。
なんだ、JAK阻害薬ってダメじゃん。3年後って何だったの?
ここで終わる育毛研究所Age35ではありません。
続きます。
実はJAK阻害薬というのは、
骨髄線維症やリウマチなど様々な病気の治療薬として
非常に重要なため、
多くの種類の薬があります。
その一つ
トファシチニブ
に注目しました。
トファシチニブは円形脱毛症の治療薬としても注目されているJAK阻害薬です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28088907
しかしながら、
この報告で使用しているトファシチニブは経口薬、つまり、飲む薬です。
トファシチニブを飲んだ場合、
全身に影響があり、
・ 免疫力の低下から感染症などが起こりやすくなる
・ 出血しやすくなる
など、様々な副作用があります。
ダメじゃん、って思いました?
待ってください。
調べているうちに、
この特許を発見したんです。
http://patent.conceptsengine.com/p/2016216384
王子ホールディングスは日本で第一位の製紙会社です。
この大企業が、
トファシチニブの経皮薬(塗り薬)の特許
を申請しているんです。
何がすごいの?
塗り薬ってところですよ!
だって、皮膚から吸収される場合、副作用がかなり軽減されるんですよ。
当然、円形脱毛症への適用が期待できます。
特許出願が公開されたのが平成28年12月22日ですから、
その1年半前、
平成26年(2014年)の6月ごろに出願されたものです。
きっと研究開発が進んでいるものと考えられます。
製品化するためには厚生労働省の試験を潜り抜けなければなりません。
それには一般的に早くても2-3年はかかると考えられます。
ということで、
3年後には塗るJAK阻害薬が販売されるようになるかもしれない、
というお話でした。
3年後は遠すぎる?
ごめんなさい、それまでは今まで通り、
副腎皮質ホルモンによる治療か、
理解のあるお医者さんを見つけてルミガンを処方してもらうか、
という治療方法になってしまいそうです。
あ、そういえば、
5%ミノキシジルが円形脱毛症に効果がある
という報告もあります。
Platelets rich plasma versus minoxidil 5% in treatment of alopecia areata: A trichoscopic evaluation.
お医者さんに相談してみるのもいいかもしれませんよ。
上で紹介した研究では、
PRP(血小板を濃縮した血漿)が
5%ミノキシジルよりも効果が高い
ということが報告されています。
PRPを使用した治療は育毛専門クリニックが行っています。
頭皮に注入する手技が必要なため、
自分で行うことは不可能です。
現状、普通の皮膚科で円形脱毛症を完全に治すのは難しいところがあります。
原因が複雑で人によって異なるため、
かなり改善する人もいますが、
ほとんど改善しないこともあります。
その場合、やはり、
育毛専門クリニックの治療には一般の皮膚科とは大きな違いがあります。
PRPを使用した治療は新宿にあるこちらのクリニックで受けることができます。
HARG(ハーグ)治療センターの公式サイトを見てみる
JAK阻害薬については、こちらの記事もオススメです
→第4世代の最新の育毛剤はトファシチニブで決まりかもしれません