キャピキシルとは、ある育毛剤に配合されている育毛成分です。
宣伝文句は、「ミノキシジルの3倍の育毛効果」です。
実は、以前、
一度、この記事を書いたんですけど、
削除したことがあります。
今回は、ご質問いただいたので公開することにしました。
いくら真実であっても、
営業妨害をするのは良くないと思うんです。
きっと頑張って製品化されてるんでしょうし、
それを信じて使っている人からしたら、
いくら真実であったとしても、
頭にくる人たちもいると思うんです。
ただ、まぁ、薄毛に本気で悩んでいる人の力になりたいですし、
こんなネットの片隅であれば、
そこまで影響はないと思うので、
あなたにだけ真実をご紹介します。
キャピキシルの真実
キャピキシルはCapixylと書くみたいですね。
有名なミノキシジル(minoxidil)に良く似たネーミングです。
このキャピキシルはミノキシジルの
3倍も効果があると言っているみたいですね。
では、Capixylで研究結果を検索してみましょう。
研究報告は1件もありません。
研究報告は1件もありません。
キャピキシルってなんなのか?
調べてみます。
こちらのページに書いてあります。
https://www.ulprospector.com/ja/asia/PersonalCare/Detail/4498/191081/Capixyl
ここですね。
Capixyl™ is a biomimetic signal peptide (acetyl tetrapeptide-3) combined with a red clover extract rich in Biochanin A
《直訳》
Capixyl™は、
Biochanin Aに富むアカツメクサ(red clover)抽出物と
生体模倣シグナルペプチド(アセチルテトラペプチド-3)を組み合わせたもの
あ、キャピキシルって化合物名じゃないんですね。
ミノキシジルは、発毛効果のある化合物の名前
フィナステリドは、ジヒドロテストステロンの産生を抑える化合物の名前
デュタステリドは、ジヒドロテストステロンの産生を抑える化合物の名前
キャピキシルは、アカツメクサの抽出物にペプチドを混ぜたものの商品名
ってことです。
色々なものの抽出物が、色んな効果があるってことは良いですよね?
抽出物ってめちゃくちゃ色々なものが混ざっているので、
普通、その抽出物の効果を生み出している化合物をつきとめて精製します。
その効果を生むコアな物質を特定して、
より高濃度で使えばもっと効果が高いからです。
つまり、
育毛成分は、
抽出物レベルから化合物レベルへ上げるために、
・ 化合物の特定
・ 化合物の精製
・ 化合物の合成
に開発者・研究者は苦労するんです。
この時点で、
キャピキシル(抽出物)
は
ミノキシジル(化合物)
と比較する価値がないくらいのレベルに差があると感じます。
まぁ、でもね、ちゃんと調べますよ。
アカツメクサ(Red clover)の抽出物がどれくらい研究されているか見てみます。
お、すごい、2件も報告がある!
あ、ちなみにミノキシジルは1965件です。
っで、一応、見てみますと、
2番目に出てきた研究は、
閉経後の女性にアカツメクサの抽出物をカプセルで飲ませた研究です。
驚くことにこの論文中、
データは2つだけです(一般的に5-10)。
さらに、
髪の毛については、
その片方のデータのごく一部で触れているだけで、
赤枠のところだけです。
拡大します。
頭髪(良い質感、切れにくさ、全体状態)
という項目が改善しています。
ふわっとしてます。
まぁ、こんな感じなんで参考にはなりませんね。
飲んじゃってるし。
で、残る1本の研究、
a Trifolium pratense flower extract(アカツメクサ抽出物)
+
acetyl tetrapeptide-3(アセチルテトラペプチド-3)を使用したところ、
4カ月以内に、
平均13%の成長期(太い)毛が増加し、
休止期(細い)毛の密度は-29%低下したんですって。
キャピキシルは
アカツメクサ抽出物 + アセチルテトラペプチド-3
のことです。
つまり、この研究報告は、
そのまんま、キャピキシルを使用した場合のデータということになります。
うーん、偉いと思います、
頑張ってデータ出したんですね。
自分たちで。
ええ、これ、赤枠で囲んだところを見てください。
著者たちの所属を書いてあるところなんですが、
キャピキシル(Capixyl)を売り出している
Lucas Meyer Cosmetics社の社員が発表したもの
であることが分かると思います。
頑張ったと思いますが、
2013年に発表して、後追い研究がゼロであることから
・ 再現性が取れない(同じ結果にならない)
ということが考えられます。
残念ながらまず信用できないデータです。
研究論文て間違いやウソのデータでも掲載されてしまうことが結構あるんです。
だからこそ、それを見破る力が必要なんです。
まぁ、百歩いや千歩ゆずって、
この結果を信用するとしましょう(仮定)。
キャピキシルで、
4ヶ月で成長期の毛が14%も増えたというのはありえないですが、
でも、そうだったとしましょう。
で、実際にミノキシジルと比べてみます。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19691748
上の研究では
5%ミノキシジル
と
1%ミノキシジル
の効果の比較をしているのですが、
キャピキシルの報告と同じ16週間後の時点の結果があります。
太い毛の数が最初の状態から
5%ミノキシジルでは26.4本増えた
1%ミノキシジルでは21.2本増えた
ということです。
研究で対象となる薄毛の人の髪の毛は
ハミルトン分類でIII-VIの人ですが、
一般的に150本/cm2ぐらいです。
つまり、
5%ミノキシジルでは太い毛が17.6%増えた
1%ミノキシジルでは太い毛が14.1%増えた
ということになります。
ピディオキシジルで
成長期の毛が13%増加したなんてありえないですが、
開発した会社がそうだと言っているので、
信用したとしましょう(仮定)。
だって、そもそも、成長期か停止期かなんて
皮膚を切り出して細胞レベルで見てみないと分からないんです。
キャピキシルの人たちのデータの取り方ですが、こちらです。
このデータの取り方(装置)は
太い毛を成長期
細い毛を休止期
と勝手に解釈してデータ化しているんです。
まぁ、簡略化したかったんでしょ。
わかりやすいようにしたかったの。わかる。
で?
ミノキシジルの3倍なんでしたっけ?
何が?
って、書いてて、
キャピキシルのデータ見つけました。
このデータはキャピキシルの宣伝データですが、
上でご紹介した研究報告の中のデータと一緒でした。
うん、なるほど、
キャピキシルで90本/cm2から102本/cm2に増えてますね。
つまり、12本/cm2増えたことになります。
5%ミノキシジルでは26.4本/cm2増えた
1%ミノキシジルでは21.2本/cm2増えた
うん、3倍はどこに行った?
なんてね、わかってますよ、
キャピキシルにミノキシジルの3倍の発毛効果なんてあるわけないんです。
この会社が3倍と言っているのは、
このデータです。
毛の成長活性度(hair growth activity)ってなんのことか?
わかりません。
書いてませんから。
研究の常識でもありません。
そんなデータの示し方ありえないですが、
まぁ、この会社がそう主張したいってことはいいんじゃないでしょうか。
でも、
例えばこの値がミノキシジルの苦手な分野だったらどうでしょう。
レモン何個分のビタミンCなら分かりますが、
ぶどう何粒分の塩分とか言われてもハテナが浮かびませんか?
ですから、
成長活性度の正体が分からない限り、
このデータの意味はありません。
つまり、ミノキシジルの3倍、というフレーズに価値はありません。
しかも、このデータは発表した論文中には入っていません。
ですから、キャピキシルの効果が
ミノキシジルの3倍あるという主張は、
科学的に認められたものではないということです。
そりゃ自社の製品ですから、
「すごいんだ!」って言いたいんでしょ。わかる。
このデータでは、
キャピキシルの中のアセチルテトラペプチド-3(acetyl tetrapeptide-3)が
毛の成長活性度をあげるということでしたね。
では、
アセチルテトラペプチド-3(Acetyl Tetrapeptide-3)てなんでしょう?
検索をしたら一件だけ研究報告がヒットしました。
毛の成長とは関係のない研究でした。
tetrapeptideでも良いみたいなのでこれでも検索してみます。
5本ヒットしました。
なぜか関係ない研究もひっかかっちゃいますね。
2本目だけが毛の成長に関する研究でした。
これです。
The regulatory role of the tetrapeptide AcSDKP in skin and hair physiology and the prevention of ageing effects in these tissues–a potential cosmetic role.
ヒトケラチノサイト、線維芽細胞および毛包の乳頭細胞の増殖を刺激する
ってことみたいです。
ただ、2013年の研究で1本だけです。
その後、他に研究している人たちはいません。
まぁ、再現性がないってことでしょう。
キャピキシルのまとめ
キャピキシルの内容成分を頭皮に塗った場合の育毛効果について、
どれくらい研究されていたか覚えてますか?
たった1本です。
それも、販売している会社の社員が発表したものです。
ミノキシジルは1965件です。
世界中の医者・研究者が同じ結果を認めています。
比較になるわけがないんです。
ミノキシジルのネームバリューを利用しているだけです。
悪いことは言いませんから、キャピキシルを使った育毛剤を買うぐらいなら、
当サイトがお勧めする育毛剤を使用してください。
こっちは効きます。
もっとオススメなのはその3ヶ月分で購入できるヘアマックスです。
しかも、ずっと使えます。
育毛効果は間違いないです。
→ヘアマックスの効果は?研究データを研究者がわかりやすくご紹介!
参考情報
http://www.pnai.org/wp-content/uploads/2017/07/c6d1fbe9ad064615d42fbf020581a8fe.pdf
http://www.pnai.org/wp-content/uploads/2017/07/1a79be40f1a648672d23332a9ac7dad3.pdf